風景写真を撮っていると優しくなれる?畏敬の念がもたらす効果

恥ずかしながら写真を撮り始めるまで、夕日を見ても「あぁ、もう夕方か。一日が終わるな。」ぐらいしか感じていませんでした。

それが写真を撮り始めると「今日の夕日はエネルギッシュできれいだな。」とか「今日は優しい夕日だな。」など思うようになりました。

さっきから夕日夕日と言ってますが、もちろん夕日だけに限りません。
数々の神秘的な瞬間に出会うたび、次第に自然の素晴らしさを感じるようになっていったのです。

今では、あまりにも雄大な光景に写真を撮るのも忘れて、しばらくぼーっと眺めてしまうこともしばしば。

この心の底からわき起こる『畏敬の念(いけいのねん)』って、どうやらとってもいいことらしいです。

実はこの畏敬の念が『思いやりの心を増幅』させたり、『自身の健康向上に一役買う』役割があるのではないのかという研究データが出ているそうです。

畏敬の念がもたらす効果

畏敬の念が”健康状態へ関与する”という研究と、”行動へもたらす影響”について調査しているデータをご紹介します。

畏敬の念がもたらす”健康”への影響について

カリフォルニア大学バークレー校の研究チームが、人間の感情と”健康”との関係について調査研究を行った。

その結果、素晴らしい芸術や雄大な自然などに触れた時に感じるあの『畏敬の念』が、健康状態を適正なレベルになるように促すといったことが明らかになりました。

人間ってよくできていて、ケガをしたり病気になった時に「病気の元はここですよ!」って細胞が教えあう機能があるそうです。

ケガをした場所が痛かったり、風邪を引いた時にノドが痛かったりする現象などがそうですね。これを炎症性サイトカインといいます。

そしてその病気の元を退治したり、ケガを沈静化してくれる機能も別に存在します。こちらは抗炎症性サイトカインといいます。

もちろん体内にはどちらも欠かせない存在です。健康である人はこの炎症性と抗炎症性のバランスが良好な状態を保っているそうです。

詳しい説明は『サイトカイン 役割』などで調べると出てくると思いますので、そちらに譲ります。

研究発表のなかで、心理学者のダッチャー・ケルトナー氏もこう述べているそうです。

「よい音楽や美しい自然に身をさらすことで喚起される『畏敬の念』というポジティブな感情が、健康や余命に作用するのです。」

この内容を裏付けるために研究チームは、成人200人に対して別の実験を行いました。

まず実験の対象となった方に質問をします。
「思いやり・畏敬の念・喜び・愛情・誇りといったポジティブな感情を、今日1日で何回味わいましたか?」

そして質問をした同日に、実験対象者の歯茎や頬の組織を採取して、炎症性サイトカインのレベルを調べました。

すると、「畏敬の念」をより強く感じた人の炎症性サイトカインは、健康な範囲内のレベルに保たれていたのです。

畏敬の念がもたらす”行動”への影響について

ポール・ピフ博士を中心としてカリフォルニア大学アーバイン校の科学者が行った実験では、”行動”についても発表されています。

1500名の実験対象者に畏敬の念を抱いた程度について回答してもらう。

そしてその後ゲームをしてもらった。10枚の引札が与えられ、共有する枚数を決めるというルールだ。

すると畏敬の念を抱きやすい人ほど、寛大な行動をとる傾向にあった。

他の4つの実験では実験対象者のグループに、ある映像や環境を見つめるように指示した。
映像や環境の内容は、畏敬の念やプライド,その他の感情,または単なる中立の感情を引き起こすように設計されたものだ。

その後、ゲームをプレイしてもらい、行動の向社会性(建設的、協力的、あるいは社会的受容性や友好性促進する行為)を確認した。

ここでも畏敬の念を抱いた人たちは、利他的(寛大)な行動をとる傾向にあった。

同時に同チームはこのような、”行動”に関する調査も行なっています。

大学生90人を、高くそびえ立つユーカリの木のそばに連れて行った。

半数は60秒間にわたって木を見上げるよう、指示を受けた。畏敬の念を抱かせるためのタスクだ。

残りの半数は木を背にして立ち、建物を見るよう指示を受けた。

その後、調査員は質問票を持って各学生に近寄り、転んだふりをして”わざと”ペンを地面に落とした。

調査チームは『学生がしゃがんでペンを拾うか』と、『ペンを拾った場合、何本拾うか』について調べてみたのだ。

その結果、畏敬群(木を見上げた組)の拾ったペンの数は10%多かった

そして調査の対象者に「ペンを拾ったことで報酬をもらう資格があると思うか。」を尋ねたところ、『そう思わない』と答えた人は畏敬群の方が多かった

まとめ

美らSUNビーチでの夕日

確かに素晴らしい風景に出会えた時って、ものすごくポジティブな気持ちになれますよね。

なんでしょう、あの心の底からわきあがってくる幸福感

あのポジティブな感情が心をリラックスさせ身体もリセットされると考えると、”健康にいい”っていうのはあながち間違えではないのかなという気がします。
病は気から』ってもいいますからね。

他人に対して優しくなれるっていうのも、なんとなくわかる。

壮大な自然を目の当たりにすると、ほんと自分という存在が世界においてちっぽけなものであるということを思い知らされます。

もちろんネガディブな意味ではなく、ん〜・・・どうやって説明すればいいんでしょう。。。

ちょっとうまく説明できないのですが、悩みとかもちっぽけなものに感じて、そんなことよりも大自然の中で生かされている喜びを感じることができるってかんじです。

まさに『畏敬の念』ってことです。

多分この感情は、風景写真をよく撮られている方にはなんとなく伝わっていると思います。

素敵な風景写真が撮れて(見れて)、『他人に優しく』なれる。かつ『健康にも良い』って何ソレ。最高じゃないですか!畏敬の念、ありがとー!

えっ?これって、もしかしてもしかして・・・写真を趣味とする人がもっともっと増えてくると、世界はもっと平和になるってことじゃん?

と、そんなことを思った一日でした。

スポンサーリンク